訪問看護オンコールはきつい?深夜2時のコールで分かったリアル

「訪問看護って夜勤はないけど、オンコールが大変そう」
「実際、訪問看護のオンコールってどんな感じ?」

訪問看護に興味はあるけど、オンコールが不安で踏み出せない看護師さんは多いのではないでしょうか。

私も病院勤務を辞めて訪問看護に転職したときは、
「オンコールといっても、そんなにたくさんコールはこないでしょ」
「夜勤がないなら生活はかなり楽になるはず」と思っていました。

確かに夜勤はありません。しかし実際に働いてみると、オンコールには想像していなかった大変さもありました。

深夜2時に鳴る電話。  
「おばあちゃん、息が止まりそうです」
急いで顔を洗い、着替えて、5分後には車に乗っていました。

この記事では、元夜勤看護師の私が訪問看護で経験したオンコールのリアルをお話しします。  

訪問看護のオンコールがどんなものか知りたい方は、ぜひ読んでみてください。

訪問看護のオンコールとは、利用者さんの体調変化や医療トラブルがあったときに、夜間や休日でも看護師が電話対応や訪問対応を行う仕組みのことです。

病院のように夜勤スタッフが常にいるわけではないため、訪問看護ではこのオンコール体制で24時間対応をしています。

  • オンコール当番は月4〜5回程度
  • 利用者→オンコール当番→担当看護師の連絡体制
  • 実際に訪問するのは月1〜4回くらい

これは私が働いていたステーションの場合なので、頻度や連絡体制はステーションごと異なります。

オンコール当番は月4〜5回程度

多くの訪問看護ステーションでは、看護師が交代でオンコール当番を担当します。私が働いていた訪問看護ステーションでは、オンコール当番は月に4〜5回ほどでした。

当番の日は、夜間や休日でも電話に出られるよう携帯電話を常に持って過ごします。

利用者→オンコール当番→担当看護師の連絡体制

利用者さんやご家族からの連絡は、まずオンコール当番の看護師に入ります。

その後、必要に応じて担当看護師に連絡が入り、状況を共有して対応を相談するという流れでした。

そのため、オンコール当番ではない日でも、担当している利用者さんのことで時間外に電話がかかってくることがあります。

オンコール当番がそのまま対応するステーションが多いと思いますが、そうでないところもあるので注意が必要です。

実際に訪問するのは月1〜4回ほど

すべての連絡が訪問につながるわけではありません。電話で状況を聞き、アドバイスをして対応が終わるケースもありました。

私の場合、実際に夜間や休日に訪問対応になったのは月1〜4回ほど。

ただし、電話がいつ鳴るか分からないため、仕事以外の時間も常に携帯電話が気になる状態でした。外出していても、食事をしていても、「もし電話が鳴ったらどうしよう」とどこかで気にしてしまうことが多かったです。入浴中も脱衣場に携帯をおいてすぐに出れるようにしていました。今思うとこんな体制は異常だったかも…

訪問看護のオンコールはきつい?実際に働いて感じた負担

実際に訪問看護で働いてみて感じたオンコールの負担は、大きく3つありました。

いつ電話が鳴るか分からない緊張感

オンコール当番の日は、いつ電話が鳴るか分からない状態で過ごします。外出していても、食事をしていても、携帯電話が気になってしまいます。  「もし今電話が鳴ったらすぐ対応できるかな」と、常にどこかで気を張っている状態でした。

また、担当している利用者さんのことで、当番ではない日にも時間外に電話がかかってくることがあります。

完全に仕事から離れて休む、という感覚はありません。

事務所では「あの人はいっつも電話でないよね〜」と言われている現場を目撃してしまったので、先輩たちが怖くて休みの日でもすぐに電話に出れるよう気をつけていました。

電話対応だけでは手当がつかない

訪問看護のオンコールでは、すべての連絡が訪問につながるわけではありません。電話で状況を聞き、アドバイスをして対応が終わるケースも多くあります。

しかし、私が働いていたステーションでは、電話相談だけの場合は時間外手当がつきませんでした。  電話代も自己負担だったため、プライベートの時間に時間に自分の電話を使って対応していました。

長いと30分くらい介護者からの相談を聞くこともあったため、電話代だけでも何とかならないか相談しましたがダメでした。

私以外の人もここは訴えていましたが、ステーションの方針として電話代も含めた給料という説明でした。

プライベートの時間が削られる

看取りの利用者さんを担当していると、「そろそろかな」と常に気にしながら生活することになります。旅行や遠出をするときは、事前に先輩に「この日は対応できないのでお願いします」と伝えてお願いしていました。

また、近々看取りになりそうな人がいると県外への旅行や帰省は控えていました。これは必須ではありませんでしたが、私が最期までみたいという気持ちが強かったんだと思います。きっちり割り切れる人は大丈夫ですが、感情移入や共感しやすいタイプの人は苦労します。

オンコールの負担は職場によって大きく違う

訪問看護のオンコールがきついと感じるかどうかは、

  • オンコールの回数  
  • 夜間出動の頻度  
  • 職場の体制  

によって大きく変わります。

働く前にチェックして、「こんなんじゃなかった」と後悔しないようにしましょう。

夜勤なしで働ける看護師の仕事は、訪問看護以外にもいくつかあります。実際に私が転職を考えたときに検討した仕事については、こちらの記事でまとめています。

夜勤なしで働ける看護師の仕事5選 【夜勤なしで働ける看護師の仕事】元夜勤看護師が実際に考えた5つの選択肢

次からは実際にあったオンコールの事例を紹介します。

【深夜2時の看取りオンコール】「ついに来たか」と思った瞬間

訪問看護で忘れられないオンコールがあります。  

80代のがん末期の利用者さんの看取りでした。

食欲の低下とADLの低下が進み、主治医から訪問看護ステーションに依頼がありました。  

娘さん夫婦と同居しており、「できるだけ自宅で穏やかに過ごしてほしい」という思いで在宅看取りを選ばれました。

娘さんはとても一生懸命に介護をされていて、私たち訪問看護師にも協力的なご家族でした。  訪問看護は週3回(月・水・金)。それ以外の日はヘルパーさんが入っていました。

ある金曜日の深夜2時、電話が鳴りました。

「おばあちゃん、息が止まりそうです」

その言葉を聞いた瞬間、「ついに来たか」と思いました。
急いで顔を洗い、着替えて、5分後には車に乗っていました。  

利用者さんのお宅までは車で15分ほどです。

向かっている途中、もう一度電話が鳴りました。

「止まっちゃった気がします」

私は「もうすぐ着くので待っていてください」と声をかけ、できるだけ落ち着いてもらえるようにしながら車を走らせました。

到着したときには、すでに心肺停止の状態でした。  
すぐに主治医へ連絡し、約30分後に主治医が到着して死亡確認となりました。

連絡を受けて、親族の方も次々と集まってきます。

同居されていた娘さんと一緒に着替えや清拭お化粧をしながら、

「よく頑張ったね」  

「穏やかな顔をしてるね」

と涙を流しながら、最後のケアを行いました。

娘さんやご家族からは  、

「本当にありがとうございます」  
「◯◯さんのおかげで、いい最期を迎えることができました」

と、こちらが恐縮してしまうほど感謝の言葉をいただきました。

私は最期の2〜3ヶ月しか関わっていません。それでも、この方の人生の締めくくりとなる大切な時間に立ち会わせてもらえたことに、むしろ「こちらこそありがとうございます」という気持ちでした。

人を一人看取るというのは、体力も精神力も削られます。  ですが、それ以上に貴重な経験をさせてもらえる時間でもあります。

深夜のオンコールは正直大変です。  

それでも、このような経験があるからこそ、訪問看護を続けていけるのだと思いました。

しかし、オンコールはこうした看取りの場面だけではありません。

【もう一つのオンコール】ストマ装具トラブル

訪問看護のオンコールは、看取りのような場面だけではありません。  

日常の医療ケアのトラブルで呼ばれることも多くあります。

印象に残っているのが、80代男性の利用者さんでした。

大腸がんの手術後に人工肛門(ストマ)を造設されており、食欲不振のためCVポートから中心静脈栄養を行っていました。  

奥さん、娘さん、お孫さんとの同居で、ご家族も一生懸命に介護をされていました。

しかし、この利用者さんは水様便が続いており、ストマ装具からの便もれが頻繁に起こっていました。

奥さんは高齢で手技に不安があり、娘さんもリウマチがあり細かい作業が難しい状況でした。  

また、娘さんはとても真面目で緊張しやすい性格で、「自分たちだけで装具交換をするのが怖い」という気持ちが強かったように思います。

そのため、装具から便が漏れるたびにオンコールで連絡が入りました。

深夜に電話が鳴ることもあれば、早朝に呼ばれることもありました。  

多いときには週に2回ほど対応することもありました。

訪問時には装具交換を行い、ご家族にも交換方法を説明していました。  

装具の種類を変更するなど対策も試しましたが、それでも便もれは完全には防げませんでした。

この対応は、正直かなり疲れたというのが本音です。

ご家族は決して怠けているわけではありません。  

むしろ一生懸命やろうとしているからこそ、不安になり電話をしてきます。だからこそ「自分たちでやってください」と突き放すこともできず、訪問看護師としてどう支えるべきか悩むこともありました。

それでも、深夜や早朝に何度も呼ばれると、正直「またか…」と思ってしまうこともありました。

【訪問看護を考えている人へ】訪問看護ステーションを選ぶときに確認したい5つのポイント

訪問看護の仕事は大変なこともありますが、それ以上にやりがいの大きい仕事です。

私は、多くの看護師さんに一度は訪問看護を経験してみてほしいと思っています。ただし、訪問看護ステーションによって働き方は大きく異なります。  

オンコールの対応方法など、個人に負担がかかりすぎないような勤務体制が整っているステーションもあります。

ステーションの選び方によって、やりがいもプライベートも充実させながら働くことができます。

私の経験から、訪問看護ステーションを選ぶときには次のポイントを確認することをおすすめします。

  • オンコール体制  
  • 祝日や大型連休の勤務体制  
  • 在宅看取りの実施の有無  
  • 利用者の内訳  
  • スタッフの年齢層

利用者の内訳はとても重要です。

医療保険の利用者が多いステーションでは、難病や障害のある利用者さんが多く、呼吸器管理など医療依存度が高いケースもあります。

一方、介護保険の利用者が多い場合は、高齢者の健康管理や内服確認などが中心になることもあります。

また、排便コントロールのケアも意外と多く、摘便や浣腸などのケアが苦手な人は事前に確認しておくことをおすすめします。

スタッフの年齢層も大切なポイントです。

私が働いていたステーションは40代以上の看護師が中心で、30代は私だけでした。

ベテランばかりで頼りにはなりましたが、それぞれの看護観が強く、相談しにくい雰囲気を感じることもありました。

就職してから「思っていた雰囲気と違った」とならないように、スタッフの年齢層や職場の雰囲気も事前に確認しておくと安心です。

訪問看護ステーションの情報を効率よく集める方法

訪問看護ステーションは、ホームページだけでは実際の働き方が分かりにくいこともあります。

私自身も、看護協会の就職支援や合同説明会などを利用して情報を集めました。

ただ、働き方のリアルを知るためには、看護師専門の転職サイトを利用することがオススメです。

転職サイトでは、オンコール体制や利用者の特徴など、求人票には載っていない情報も教えてもらえます。

また、担当者が過去に紹介した看護師から「実際に働いてどうか」という話を聞いていることもあり、職場の雰囲気を知る参考になることもありました。

訪問看護ステーションは職場によって働き方が大きく違います。複数の方法で情報を集めて、自分に合った職場を見つけることが大切です。

訪問看護に転職したきっかけや、実際に働いて感じたやりがい・後悔については、こちらの記事で詳しく書いています。

【訪問看護に転職して感じたリアル】やりがいと後悔したことを元看護師が解説

【まとめ】訪問看護のオンコールは大変だが得られる経験も大きい

訪問看護はオンコール対応もあり、決して楽な仕事ではありません。

深夜の呼び出しや突然のトラブル対応など、体力的にも精神的にも負担を感じる場面があります。

しかしその一方で、利用者さんやご家族の人生の大切な時間に関わることができる、病院ではなかなか経験できない看護があるのも事実です。

在宅での看取りや、ご家族と一緒にケアを行う時間は、訪問看護ならではの大きなやりがいだと感じています。

訪問看護ステーションによって、オンコールの回数や体制は大きく異なります。  

事前に情報をしっかり集めて、自分に合った職場を選ぶことがとても大切です。

訪問看護の働き方に興味がある方は、ぜひ一度どんな職場があるのか調べてみてください。  

思っている以上に、看護師としての新しい可能性が広がりますよ。

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